オレオサイエンス編集委員長挨拶

編集委員長就任にあたって

関 根 知 子

株式会社資生堂  未来開発研究所

今年度より「オレオサイエンス」誌の編集委員長に就任しました,資生堂の関根です。

私が本誌の編集委員になったのは2006 年,今から16年も前のことです。研究員として過ごしてきた社会人人生の半分以上の年月を,オレオサイエンスに関わってきたことになります。振り返ってみると,編集委員になったことで自分の人生を左右するような様々な出会いがあり,企業の中だけでの研究では体験しえない,貴重な経験を数多くさせて頂きました。中でも2012 年夏に,慶応大学で実施した「オレオサイエンスフェア」の企画・準備では,同業他社の研究員同士が一つの目標に向かって作業した「忘れられない夏」として深く記憶に残っています。また編集という活動に興味が湧いたことで,プライベートでも小学校と高校のPTA 活動で,広報委員として合わせて3 年間,PTA 紙の編集に携わりました。もちろん学会誌とは全く違うジャンルですが,興味を持ってもらえる紙面を考えながら作るのは楽しい作業でした。私にとってオレオサイエンス編集委員の活動は,知識だけでなく社会の幅を広げるための大切な糧になっています。

オレオサイエンス誌に話を戻します。本誌は日本油化学会の情報誌として,会員の皆さまに有益な情報を提供するとともに会員間の情報交換を促進する役割を担っています。英文誌の「Journal of Oleo Science」とともに日本油化学会の活性化と発展の鍵を握っていることは言うまでもありません。
オレオサイエンス誌の内容について少しご説明します。「特集」には,様々な専門性を持つ編集委員がピックアップし,編集委員会で承認されたテーマに沿って,その分野の第一人者の先生方にご寄稿頂いた論文を掲載しています。主に界面・油脂の分野から幅広く題材を集め,企業の方にもアカデミアの方にも面白く読んで頂けるよう心がけています。「Topics in Oleo Science」では,特集以外で読者の皆さまに関心が高そうなトピックを単発で掲載しています。「油脂関連情報」では,油脂に関連する規制など世界各国の情報を掲載しています。「会員のひろば」はその名の通り会員の方の情報交換のひろばですので,広くご寄稿をお待ちしています。「若手研究者紹介」は,概ね40 歳以下の会員の方の研究を紹介するコーナーです。自薦他薦問いませんので,思い当たる方がいらっしゃる場合は,是非編集委員会にお知らせください。「研究室紹介」では,学会員の先生方の研究室をご紹介しており,こちらも随時募集中です。「会告記事」は日本油化学会関連のセミナーや学会の情報を掲載しています。9 月の年会のプログラムは,例年8 月号に掲載されます。また今年から,2014~5 年に連載し好評を博しました「油脂・界面 基礎講座」を新訂して,順次掲載しています。隅々まで充実した内容になっておりますので,お楽しみ頂けると嬉しいです。

2019 年から,冊子体のオレオサイエンス誌に特集企画の論文が掲載されると,その論文は直ちにJ-STAGEへ収載され,だれでも無料で読めるようになりました。J-STAGE へのタイムラグなしでの論文収載については,その是非を編集委員会でも長く議論してまいりましたが,日本以外からのアクセスも年々増えてきていることから,広く読んで頂くことが本誌のグローバル化やインパクト向上につながり,ひいては学会全体のレベルの底上げになると考えました。実際,全文PDF のダウンロード(閲覧)数は,2019 年9 月までは月2 万件程度,タイムラグなしでの論文収載を開始した10 月号以降は月3 万~4 万件程度に大幅に増加しています。会員の皆さまには,特集・総説以外の情報を含む冊子での配布という大きな特典がございますので,引き続きご愛読のほどよろしくお願いします。

オレオサイエンスをもっと皆さまに知って頂き,楽しく読んで知識を広げて頂くために今年も様々な特集企画をご用意していきます。近年はネットを通じて学会にアクセスする方が多いため,オレオサイエンスのホームページを新しく,見やすく生まれ変わらせます。学会誌のアピールのためにもネットを通じた外部への情報発信は必要不可欠と考え,事務局のお力も借りて,近い将来にはTwitter での配信も予定していますので,どうぞご期待ください。

引き続き,魅力ある「オレオサイエンス」誌づくりと油化学会の発展に全力で取り組んでいく所存です。会員の皆さまには,ご寄稿のお願いをさせて頂くこともあるかと思いますが,皆さまの素晴らしい研究を知って頂く機会ととらえ,お引き受け頂けると幸いです。どうぞよろしくお願いします。

(2022年11月)