第65回界面科学部会秋季セミナー -美の限界を追求する技術- (2018.11.5~11.6)

  • 主催:日本油化学会 界面科学部会(関東)
    本年度は「美の限界を追求する技術」と題し,経皮吸収,さらには化粧品科学に留まらない美容施術方法まで枠を広げた研究事例を紹介して頂きます。また例年通り,化粧品・洗浄料分野において界面に着目した技術開発に携わっている研究者にも,基礎から応用まで講演して頂きます。当日は,講演者,参加者同士で交流会もありますので,積極的にご参加頂き,研究者・技術者ネットワークをひろげてみませんか。
  • 協賛:
    日本農芸化学会・日本薬学会・高分子学会・日本家政学会・日本化粧品技術者会・色材  協会・日本膜学会・日本材料学会・日本食品科学工学会・日本レオロジー学会・日本香粧品学会・材料技術研究協会
  • 期間:2018115日(月) ~ 116日(火)
  • 会場:レクトーレ葉山 湘南国際村(旧IPC生産性国際交流センター)
              (神奈川県三浦郡葉山町湘南国際村) https://tkp-resort.net/lectore/hayama/
              〔交通〕 JR逗子駅東口(①番のりば)もしくは京浜急行新逗子駅南口より
               京浜急行バス 逗16・26系統「湘南国際村センター」行
              終点「湘南国際村センター前」下車 徒歩5分(所要時間 約25分・片道350円)
               (12:00もしくは13:00出発のバスをご利用ください。)
              JR逗子駅よりタクシーの利用で約15分
  • 参加費: 日本油化学会個人正会員(会員番号をお持ちの方) 30,000 円
                   日本油化学会法人会員会社勤務者・協賛学協会個人会員 35,000 円
                   学 生 18,000 円
                  会 員 外 45,000 円
               (参加費にはテキスト代,宿泊費,食事代,消費税を含みます。なお,既納会費は返 却できませんので,ご承知おき下さい。)
  • 申込方法:
    必要事項〔氏名,勤務先,連絡先(TelE-mailアドレス),参加費〕を以下の申込先にE-mailでお知らせください。申込の締め切り日は,1019日(金)です。また,参加費を以下の口座までご送金ください。振込手数料はご負担願います。領収書はセミナー当日お渡しします。宛名は「会社名+氏名」といたしますが,ご希望がございましたら,お知らせください。
  • 問い合わせ先(申込先): 東京理科大学理工学部先端化学科 酒井健一
                                               E-mail: k-sakairs.noda.tus.ac.jp (※を@に変更して下さい)
                                               Tel : 04-7124-1501(内線3612)
  • 送金先: 横浜銀行 和田町支店 普通1440021
                   日本油化学会界面科学部会関東支部(ニホンユカガクカイカイメンカガクブカイカントウシブ)

プログラム(演題と講師)

115日(月) “美の限界を追求する技術”

1.薬物の皮膚透過の基礎理論およびその応用
14:10 – 15:10
城西大学 藤堂 浩明 氏

皮膚適用型製剤を今後さらに開発・発展させていくためには,皮膚の構造について理解し,薬物の皮膚透過について十分理解することが重要である。本講演では,薬物の皮膚透過経路とその速度論について述べる。さらに,油性基剤からの薬物の皮膚透過に及ぼす要因や皮膚透過性を高めるための油性基剤の利用についても紹介する。

2.膜ダイナミクスと生理応答
15:20 – 16:20
北陸先端科学技術大学院大学 高木 昌宏 氏

成長や分化に関する細胞信号伝達は,細胞膜中に存在する受容体と,ホルモン等の情報分子とが結合することによって行われる。しかし,プロスタグランジン等の脂質メディエーターの発見や,ラフト仮説により,特に生理的な応答に関しては,細胞膜の関与についても着目されている。講演では,細胞膜の動的構造変化(ダイナミクス)と,感覚刺激を含む信号伝達との関係について,基礎と応用の両面から皆さんと一緒に考えてみたい。

3.レーザーなどを用いたシミ治療の歴史と最前線
16:30 – 17:40
美容・医療ジャーナリスト 海野 由利子 氏

レーザーによるシミ治療が始まって20年を超える。私が雑誌の企画で体験取材を始めたのは1999年。「美白化粧品が要らなくなるかもしれない」という懸念で美容業界がざわつき始めた時期である。体験の理由は,効果はもちろん経過や気持ちの変化まで知りたかったからである。今回は,美容医療におけるシミ治療の歴史,医師の専門分野による思考の違い,問題点,最先端の治療機器・治療法まで網羅的に,実感も含めてお伝えする。

116日(火) 化粧料・洗浄料の先端技術とその応用

4.環境適応型界面活性剤MESを活用した液体洗浄剤の皮脂に対する洗浄性と
油/水界面挙動の解析
9:00 – 9:45
ライオン株式会社 森垣 篤典 氏

植物由来のアニオン性界面活性剤MES(アルファスルホ脂肪酸エステル塩:Methyl Ester Sulfonate)は衣料用液体洗浄剤として高い皮脂洗浄力を示す。本講演では,油/水界面の界面張力および界面粘弾性に着目した皮脂洗浄メカニズムと,対イオン交換によりクラフト点を低下させ寒冷地域向けの洗浄剤にMES活用を可能にした例について紹介する。

5.ヒト皮膚上における紫外線防止効果の時空間的評価法の開発
9:55 – 10:40
花王株式会社 針生 泰史 氏

サンスクリーンは肌を紫外線(UV)から守るため使用され,その効果の指標としてSun Protection Factorが一般的に用いられている。しかし,生活の中で汗や擦れによってその効果は低下するため,時間的,空間的に効果の変化を捉えることは重要と考えられる。本講演ではUV防止効果の時空間的評価を可能とするUV分光画像計測システムの構築と,本手法を用いた実使用場面での研究例について紹介する。

6.ナノ粒子・微粒子の表面設計による粒子間相互作用の制御
10:50 – 11:50
横浜国立大学 飯島 志行 氏

粒子間相互作用の制御に基づくスラリー物性や乾燥粉体の流動特性制御は,化粧品分野に限らず,先進セラミックスや有機無機複合材料などの新規材料開発にも共通する重要な基盤技術である。本講演では,各種微粒子・ナノ粒子に対するシランカップリング剤や機能性高分子を利用したテイラーメイドな表面設計技術と,微粒子の液中分散制御,集積構造制御や,乾燥粉体の圧密挙動制御への活用事例等について近年の取り組みを紹介する。

7.「コアコロナ粒子」による乳化技術と化粧品への応用
13:00 – 13:45
株式会社資生堂グローバルイノベーションセンター 杉山 由紀 氏

化粧品の処方設計や機能創出において,油と水の混合技術である“乳化技術”はきわめて重要であり,深化が求め続けられている。我々は汎用技術である界面活性剤による乳化,および,固体粒子を乳化剤とするPickeringエマルション両者の技術的課題を克服し,かつ強みをあわせもつ乳化剤として親/疎水性ポリマー「コアコロナ粒子」を開発した。本セミナーではこの粒子の特異な乳化性および開発事例について紹介する。

8.新規パーフルオロポリエーテル誘導体の開発とメイク用処理粉体への応用
13:55 – 14:40
ニッコールグループ株式会社コスモステクニカルセンター 鎌戸 伸一郎 氏

撥水・撥油性を付与するフッ素化合物はさまざまな分野で応用されるが,表⾯処理剤として使⽤される「パーフルオロアルキル化合物」は,製造・使用に際して,厳しい規制が課され,年々強化されている。本講演では,その規制から完全にフリーとなる新規ポリパーフルオロポリエーテル誘導体をメイク用表面処理剤として開発した経緯および,作製した各種表面処理粉体の撥水・撥油性および滑り性について紹介する。