2017年 新年のご挨拶

宮 下 和 夫
公益社団法人日本油化学会 平成27~28年度会長
北海道大学教授

 皆様、新年明けましておめでとうございます。旧年中は、日本油化学会に対して多大なご支援をいただきましたことを、会を代表して心より御礼申し上げます。今年も、油化学会の活動へのご理解と、将来に向けての忌憚の無い多くのご意見をいただければ幸いです。

 日本油化学会は今年で創立65年目を迎えますが、最近の世界情勢の変化は、過去のどの時期と比べても激しいものがあります。また、人間活動が自然環境に与える影響と経済発展の関わりも大きくクローズアップされております。こうした中、科学者、科学界、もちろん日本油化学会も、持続的で調和のとれた産業の発展に資するような技術開発を求められております。幸いにも、油化学は学際色の強い学術分野であり、化学、物理、生物といった基礎学問を自由に駆使して様々な問題の解決に挑むことができます。“油・脂質・油脂”に関わるすべての事象に関する事柄を、理学、工学、農学、薬学、医学といった様々な学問を基にしながら探究し、その結果を世の中の役に立たせることもできます。実際、これまでの油化学会の活動により、“油・脂質・油脂”の機能性、利便性、経済性が明らかになっており、これからも社会の要求に的確に答えていくことができると確信しております。

 油化学が学際的であるのは、豊かな人間生活の創出にその成果を活用することを目的にしているからと考えます。油化学の活動は関連の産業の健全な発展に大きく関わっています。したがって、油化学会の活動には、研究者ばかりではなく、開発担当者、マーケティング担当者、経営者など、様々な分野や立場の方が積極的に関わることが必要かと思います。消費者のニーズ、企業の取り組み、最近の技術の発展、学問上の新知見など、多くの情報を共有することで、最も重要で価値のあるテーマが見えてきます。また、このテーマを追求していくと、“油・脂質・油脂”に関わる様々な自然現象や科学的事象の真理にも迫ることが可能となります。得られる成果は、一般社会や関連産業の要求にも応えうるものです。このような情報の共有の場が日本油化学会であると思います。

 日本油化学会では様々な場で関連の情報を提供していますが、なんといっても最も重要な情報交換の場は年会だと思います。年会で研究者がいかに魅力的で新しい話題を提供できるかが、また、より多くの企業や一般社会が年会に関心を持っていただけるかどうかが、今後の日本油化学会の発展を左右しているといっても過言ではありません。近年の会員の減少傾向に歯止めをかけるには、学会としての原点に立ち返り、年会を通じて優れた研究を間断なく公表していけるような環境づくりが必須です。そのために、年会は常に挑戦的であり続ける必要があります。日本油化学会は長い歴史を有する学会ですので、守るべき伝統もありますが、年会は最も革新的で、時代のニーズに即応していくことが大事です。こうした観点から、今年の一番の目標は年会の充実にあると考えております。この点に関する皆様からの多くのご意見を是非宜しくお願い申し上げます。

 日本油化学会が行っている活動には、学会誌や各種書籍の発行、セミナーやシンポジウムの開催、表彰など様々なものがあります。これらは日本油化学会の誇るべき財産というべきで、上手に活用することが求められております。特に、日本油化学会の公式ジャーナル、Journal of Oleo Science(JOS)は、PubMedなど主要な文献検索に収録されていること、論文が無料でダウンロードできることなど、関係する学問分野に対して強い発信力と影響力を有しています。影響力を有する国際誌を持てるのは、日本油化学会に伝統があり、先人の努力があったからです。会員の皆様、特に若い方々には、是非こうした財産を積極的に活用していただきたくお願い申し上げます。