2018若手の会 サマースクール「油化学・界面化学の商品開発につながる最新トピックス」(2018.8.2~8.3)

油化学・界面化学の商品開発につながる最新トピックス
 
日本油化学会若手の会では、産・学・官に所属する研究者・技術者を招いて、油化学・界面化学に関連するユニークな研究トピックスについてご紹介頂く「サマースクール」を毎年開催しております。本年度は“油化学・界面化学の商品開発につながる最新トピックス”
を主題に、大学・研究所・企業に所属する講師の先生方からご講演頂きます。気軽な雰囲気の中、サマースクールでは講師と参加者の距離が近く、参加者同士の親睦を深めることができます。本年度も、最優秀ポスター賞・優秀ポスター賞を設け、今後の油化学・界面化学の発展に寄与すると認められたポスター発表者に贈呈致します。気軽に参加して頂く企画であるため、ぜひとも普段着でご参加ください。

 
  • 主催:公益社団法人日本油化学会若手の会委員会
  • 日時:平成30年8月2日(木)13時~3日(金)12時
  • 会場:ライオン伊豆高原研修センター
    (〒413-0232静岡県伊東市八幡野1041-37 TEL 0557-53-0321)
  • 参加費:(宿泊費,懇親会費,朝食費を含みます。各日の昼食費は含みません。)
    ・日本油化学会正会員・法人会員,学校官公庁勤務者24,000円
    ・協賛学会個人会員・法人会員24,000円
    ・学生10,000円
    ・一般・会員外33,000円
    *懇親会の後も引き続きミキサーを行います。基本的に参加者全員に宿泊をお願いしておりますが,宿泊されない方a),および一日だけの参加希望の方b)も併せて募集しております。詳細は下記参加申込先までお問い合わせ下さい。
    a)宿泊されない場合
    ・日本油化学会正会員・法人会員,学校官公庁勤務者,協賛学会個人会員・法人会員19,000円
    ・学生7,000円
    ・一般・会員外28,000円

    b)1日のみの参加の場合
    ・日本油化学会正会員・法人会員,学校官公庁勤務者,協賛学会個人会員・法人会員14,000円
    ・学生5,000円
    ・一般・会員外23,000円

  • 募集人数:40名(定員になり次第,締め切ります)
  • 参加申込締切:平成30年6月29日(金)
スケジュールと講演プログラム
1日目
8月2日(木)
12:30~13:00 受付
 
13:00~13:05 開会挨拶 委員長 武仲能子(産業技術総合研究所)
 
13:10~14:05 【講演1】
「単一鎖長ポリオキシエチレン系非イオン界面活性剤~水溶液およびイオン液体中での挙動~」
奈良女子大学 
吉村倫一氏
近年我々は、ポリオキシエチレン(EO)鎖に分布をもたない単一鎖長EO系界面活性剤のEO鎖末端にメトキシ基、エトキシ基、ポリオキシエチレン鎖を修飾させた末端修飾型単一鎖長EO系界面活性剤、アルキル基に2本の多分岐鎖を有する多分岐2鎖型単一鎖長EO系界面活性剤を開発した。本講演では、これらの合成や水溶液中での物性、会合体特性について、最先端技術であるSPring-8でのX線小角散乱の内容などを交えて基礎から紹介する。また、我々が開発したジェミニ型イオン液体を媒体に用いたEO系界面活性剤のユニークな界面吸着挙動や層構造についても紹介する。
 
14:10~15:05 【講演2】
「大気汚染物質を寄せ付けないシールド技術の開発」
資生堂グローバルイノベーションセンター
宮沢和之氏
大気汚染の原因となる代表的な微粒子として花粉とPM2.5が挙げられる。これらの浮遊微粒子は一度衣類や人体に付着した後、二次的に吸入するリスクがあることから対策としては付着自体を防ぐことが重要であると考えられる。上記課題を解決するため、我々は細胞膜と同じ成分であるホスホリルコリンを有する生体適合性素材の特性に着目し検討を進めている。この素材を皮膚、毛髪、衣類などに塗布した場合の花粉やPM2.5に対する付着抑制効果を検証した結果および、空気中の微粒子の表面への付着において重要な要素である静電気や表面の平滑性などに関する知見を紹介したい。
 
休息
 
5:20~16:15【講演3】
「新規抗シワ医薬部外品成分NEI-L1のシワ改善作用」
ポーラ化成工業株式会社
竹内啓貴氏
超高齢社会の到来に伴い、年齢を重ねても美しくありたいと願う女性の数は増え続けており、アンチエイジングに対する顧客の期待は依然高いレベルにある。これまで、アンチエイジング効果を消費者に訴えるため、業界全体で、効能範囲の拡大を厚生労働省に要望してきた。その活動が結実し、2011年に化粧品において「乾燥による小ジワを目立たなくする」という効能表現が可能と
なり、2016年には、抗シワ医薬部外品の製造販売が初めて認可された。本講演では、2016年に認可された抗シワ医薬部外品の開発事例と、抗シワ有効成分の作用機序・有効性評価について概説する。
 
16:20~17:15 【講演4】
「GC分析のための脂肪酸メチル調製法」
京都市産業技術研究所
市原謙一氏
GCによる脂肪酸分析は,脂肪酸メチルへの誘導体化反応を必要とする。この脂質試料前処理操作の選択は、脂質を専門分野としない技術者・研究者が脂肪酸分析の必要性に迫られた時に直面する課題である。この脂肪酸誘導体化処理に関わる不安感・抵抗感を緩和するため、熟練を要することなく(だれでも),専用の特化された機器を使わずに(どこの研究室でも)、危険な高温加熱を必要とせず(安全に)、かつ手間と時間をかけず(迅速に)、100%近い収率で確実に脂肪酸メチルが調製できる方法を提案してきた。
 
17:15~17:30 チェックイン:部屋へ荷物の移動
17:30~19:00 夕食・懇親会 司会 委員長 武仲能子(産業技術総合研究所)
19:00~20:00 ポスター発表 司会 委員長 武仲能子(産業技術総合研究所)
20:00~22:00 自由時間:入浴など
22:00~ ミキサー
 
2日目8月3日(金)
7:00~8:30 朝食
 
8:45~9:40【講演5】
「酵素法による機能性脂質の製造と精製および皮膚の微生物を健全化する脂質」
大阪産業技術研究所
永尾寿浩氏
リパーゼは、機能性脂質の製造・精製などの油脂加工に幅広く用いられている酵素である。本講演では、当研究室が企業と共同で行なった、酵素法によるドコサヘキサエン酸高含有油とリノール酸メントールエステルの製造、および共役リノール酸異性体の精製について紹介する。また最近取り組んでいる研究テーマとして、皮膚に常在する悪玉菌の生育を抑制し、善玉菌の生育を抑
制しないことにより皮膚の微生物(スキンマイクロバイオーム)を健全化し、皮膚の健康を保つ機能が期待される脂質についても紹介する。
 
9:45~10:40 【講演6】
「柔軟剤の効果発現機構の解明」
花王株式会社
五十嵐崇子氏
柔軟剤の使用により木綿が柔軟化する機構として、摩擦に視点をおいた定説が知られてきた。これに対して、我々は、木綿が濡れた状態から自然乾燥すると非常に硬くなると共に、柔軟剤がこの硬さを効果的に低減している現象に着眼し、柔軟剤の作用が、硬化の根本要因である木綿単繊維間の結合水による水素結合ネットーワークに対する効果的な阻害によるものという新しい理論を提案した。また、布や糸といった構造体次元での柔軟剤の吸着様式に視点を注ぎ、露出部を主体として偏在吸着が生じている事を踏まえて、この特異性こそが少量で効果的な柔軟化現象を引き起こし、柔軟剤使用量による風合い変化の要因として機能している事を明らかにした。
 
休息
10:50~11:45 【講演7】
「油化学領域に関連するグリーンサステイナブルケミストリー」
慶應義塾大学
松村秀一氏
日本油化学会は1951年日本油脂化学協会として発足以来、油脂化学と石油由来合成界面活性剤創成の2本柱で発展してきました。20世紀末頃から地球環境と資源エネルギーの観点から原料・合成・リサイクル・廃棄の場面において「サステイナブル」であることが社会から強く求められるようになってきました。植物由来の油脂はその起源により多様な分子構造のものが得られることから界面活性剤やプラスチック原料として近年再認識されその利活用に関する研究が広く進められています。またそれを可能とする環境低負荷な生体触媒の活用、リサイクルや生分解を可能とする分子設計も各方面で研究されています。本講演ではバイオベース由来の次世代型界面活性剤やポリマー(プラスチック・エラストマー)の合成、循環型ケミカルリサイクル、生分解などについて紹介します。
 
11:45~11:50 ポスター賞受賞者発表 委員長 武仲能子(産業技術総合研究所)
11:50~11:55 閉会挨拶 副委員長 佐藤 俊(産業技術総合研究所)
11:55~12:00 記念撮影、解散
 
  • 参加申込方法:申込書に必要事項をご記入の上,E-mailでお申し込み下さい。申し込み受理の返信をしますので、受理の返信がない場合は,申し訳ありませんがご連絡ください。

    申込書はこちらから>>

  • 参加申込先:日本油化学会若手の会
    委員長 産業技術総合研究所 機能化学研究部門
    武仲能子
    TEL:029-849-1522(直通)
    E-mail: takenaka.yoshiko@aist.go.jp
    参加費支払方法:6月29日(金)までに下記の銀行口座にお振込下さい。振込手数料はご負担下さい。(7月4日(水)以降のキャンセルは払い戻しできませんので、ご注意をお願い致します。)
    三井住友銀行 つくば支店 口座番号:普通0417718
    名義:日本油化学会若手の会(ニホンユカガクカイワカテノカイ)