2026年新年のご挨拶 後藤直宏 令和7~8年度会長

油化学の未来をつなぐ産官学の輪

新年,明けましておめでとうございます。会員の皆様におかれましては,健やかに新春をお迎えのこととお慶び申し上げます。

昨年の信州大学にて酒井俊郎先生を大会長として開催された第63回日本油化学会年会では,国内外から多くの会員・企業関係者の皆様にご参加いただき,盛況のうちに終えることができました。参加者数,懇親会参加者数ともに過去最高とのことで,改めて関係者の皆様のご尽力に心より感謝申し上げます。私自身も会場で多くの皆様と直接意見交換をする中で,油化学分野の未来に向けた熱意と期待を肌で感じ大変励まされました。この勢いを今年の年会にも引き継いでいければと願っています。なお,本年の年会は上野聡先生を大会長として広島大学で開催する予定です。本年も,近年の日本油化学会が掲げている「産学連携」を中心テーマとして位置付け,学術界と産業界の橋渡しを一層強化する機運を高めたいと考えております。日本油化学会の特徴は,基礎研究から応用研究まで,アカデミアと企業が垣根なく交流できる点にあります。この強みを最大限に活かし,研究成果の社会実装や新規技術開発,さらには若き研究者の育成につなげることが我々の重要な使命であると改めて感じております。

さらに,来年には北海道大学の細川雅史先生を大会長としてWorld Congress on Oleo Science(WCOS)を函館で開催する予定です。日本の油化学分野が国際的に発信力をより高めるまたとない機会となります。現在,多くの企業様にも協力をお願いしており,産官学の連携を通じて世界レベルで通用する研究成果と人材育成の基盤を築くこと,そして国際的に通用する若手研究者の育成を目指しています。私自身,開催準備に関わる中でこの国際会議に対する国内外の方々の期待をひしひしと感じています。函館の地元の方々との交流や地域資源との連携も視野に入れ準備を進めてまいりたいと考えております。

また,我々の学術誌であるJournal of Oleo Science(JOS)のインパクトファクターが2025年時点で1.8に達し,国内外での評価が着実に高まっていることは特筆すべき点だと言えます。国内の関連分野の学会が発行する英文誌をすでに上回り,海外の学会が発行している学術誌と比較しても遜色ないレベルのインパクトファクターとなっております。今年も引き続き「JOSのインパクトファクター3.0」を目標にしたいと思っています。つきましては,日常の研究・開発活動の中におけるJOSの活用や積極的なJOS掲載論文の引用をし,JOSの価値向上にご協力いただければ幸いです。そしてその勢いをWCOSで世界に発信できれば,日本油化学会の国際的な立場向上に大きな相乗効果をもたらすと確信しております。

加えて,研究環境改善にも注力してまいります。近年,大学や研究機関では成果主義や管理業務の増大,研究費の低下や機器の老朽化により,研究者が本来の創造的活動に集中できない課題が顕在化しています。日本油化学会としては,若手研究者が独創的なテーマに挑戦できる環境を整備し,長期的かつ自由な研究活動を支援する取り組みを進めてまいります。また,フレッシュマンセミナーの教本改訂作業も進行中で,基礎知識の習得をより効果的にするだけでなく,油化学分野への興味喚起や将来の研究者育成に資する内容に刷新しています。産官学が一体となったこのような教育活動は,油化学分野の社会的価値創出に必ず直結するものと自負しております。

2026 年も会員の皆様とともに,国内外の研究者や企業,地域社会と連携し,日本油化学会の発展に努めてまいります。産官学のネットワークをさらに強化し,未来の課題解決に貢献できる学会としての存在感を高める一年にしたいと考えております。皆様のご支援とご協力をお願い申し上げ,新年のご挨拶といたします。