編集長挨拶
2022年11月
編集委員長就任にあたって
関 根 知 子
2022-23年 編集委員長
株式会社資生堂 未来開発研究所
今年度より「オレオサイエンス」誌の編集委員長に就任しました,資生堂の関根です。
私が本誌の編集委員になったのは2006 年,今から16年も前のことです。研究員として過ごしてきた社会人人生の半分以上の年月を,オレオサイエンスに関わってきたことになります。振り返ってみると,編集委員になったことで自分の人生を左右するような様々な出会いがあり,企業の中だけでの研究では体験しえない,貴重な経験を数多くさせて頂きました。中でも2012 年夏に,慶応大学で実施した「オレオサイエンスフェア」の企画・準備では,同業他社の研究員同士が一つの目標に向かって作業した「忘れられない夏」として深く記憶に残っています。また編集という活動に興味が湧いたことで,プライベートでも小学校と高校のPTA 活動で,広報委員として合わせて3 年間,PTA 紙の編集に携わりました。もちろん学会誌とは全く違うジャンルですが,興味を持ってもらえる紙面を考えながら作るのは楽しい作業でした。私にとってオレオサイエンス編集委員の活動は,知識だけでなく社会の幅を広げるための大切な糧になっています。
オレオサイエンス誌に話を戻します。本誌は日本油化学会の情報誌として,会員の皆さまに有益な情報を提供するとともに会員間の情報交換を促進する役割を担っています。英文誌の「Journal of Oleo Science」とともに日本油化学会の活性化と発展の鍵を握っていることは言うまでもありません。
オレオサイエンス誌の内容について少しご説明します。「特集」には,様々な専門性を持つ編集委員がピックアップし,編集委員会で承認されたテーマに沿って,その分野の第一人者の先生方にご寄稿頂いた論文を掲載しています。主に界面・油脂の分野から幅広く題材を集め,企業の方にもアカデミアの方にも面白く読んで頂けるよう心がけています。「Topics in Oleo Science」では,特集以外で読者の皆さまに関心が高そうなトピックを単発で掲載しています。「油脂関連情報」では,油脂に関連する規制など世界各国の情報を掲載しています。「会員のひろば」はその名の通り会員の方の情報交換のひろばですので,広くご寄稿をお待ちしています。「若手研究者紹介」は,概ね40 歳以下の会員の方の研究を紹介するコーナーです。自薦他薦問いませんので,思い当たる方がいらっしゃる場合は,是非編集委員会にお知らせください。「研究室紹介」では,学会員の先生方の研究室をご紹介しており,こちらも随時募集中です。「会告記事」は日本油化学会関連のセミナーや学会の情報を掲載しています。9 月の年会のプログラムは,例年8 月号に掲載されます。また今年から,2014~5 年に連載し好評を博しました「油脂・界面 基礎講座」を新訂して,順次掲載しています。隅々まで充実した内容になっておりますので,お楽しみ頂けると嬉しいです。
2019 年から,冊子体のオレオサイエンス誌に特集企画の論文が掲載されると,その論文は直ちにJ-STAGEへ収載され,だれでも無料で読めるようになりました。J-STAGE へのタイムラグなしでの論文収載については,その是非を編集委員会でも長く議論してまいりましたが,日本以外からのアクセスも年々増えてきていることから,広く読んで頂くことが本誌のグローバル化やインパクト向上につながり,ひいては学会全体のレベルの底上げになると考えました。実際,全文PDF のダウンロード(閲覧)数は,2019 年9 月までは月2 万件程度,タイムラグなしでの論文収載を開始した10 月号以降は月3 万~4 万件程度に大幅に増加しています。会員の皆さまには,特集・総説以外の情報を含む冊子での配布という大きな特典がございますので,引き続きご愛読のほどよろしくお願いします。
オレオサイエンスをもっと皆さまに知って頂き,楽しく読んで知識を広げて頂くために今年も様々な特集企画をご用意していきます。近年はネットを通じて学会にアクセスする方が多いため,オレオサイエンスのホームページを新しく,見やすく生まれ変わらせます。学会誌のアピールのためにもネットを通じた外部への情報発信は必要不可欠と考え,事務局のお力も借りて,近い将来にはTwitter での配信も予定していますので,どうぞご期待ください。
引き続き,魅力ある「オレオサイエンス」誌づくりと油化学会の発展に全力で取り組んでいく所存です。会員の皆さまには,ご寄稿のお願いをさせて頂くこともあるかと思いますが,皆さまの素晴らしい研究を知って頂く機会ととらえ,お引き受け頂けると幸いです。どうぞよろしくお願いします。
2019年8月
魅力ある会誌づくりを目指して
仲 川 清 隆
2019-21年 編集委員長
東北大学大学院 農学研究科 教授
この度、「オレオサイエンス」誌の編集委員長を仰せつかりました。
本誌は,ご承知のように日本油化学会の情報誌として,学会と会員の皆様を結ぶ役割を担っています。これまで,前編集委員長の先生方を中心とした編集委員の皆様の努力により,誌面の活性化が図られてきました。(これまで筆者は,原節子委員長,岡野知道委員長,酒井秀樹委員長,そして木田敏之委員長の下で,編集委員を務めさせて頂きました。)現在のオレオサイエンス誌は,従来から続く「特集」,「研究室紹介」,「学会参加記」,「油脂関連情報」,「会員のひろば」,「会告記事」に,「若手研究者紹介」,学術専門委員会とのコラボ企画である「Topics in Oleo Science」が加わり,一層充実した内容になっております。
本誌の中で,特に「特集」は,本学会に深く関わる油脂科学と界面科学,また様々な関連研究の最近のトピックスを「総説」として紹介しており,目玉企画です。そして,皆様がご承知のように,この「総説」(および「入門講座」等を含む)のJ-STAGE (https://www.jstage.jst.go.jp/browse/-char/ja)への収載が2013 年より始まり,本日(2019 年6 月7 日)の時点で,2001 年1 巻から2016 年16 巻までの計604 報が収載されています。誰でも,いつでも自由に「総説」をダウンロードして,閲覧することができるようになっています。こうしたオンラインの取り組みが始まって,およそ7 年が過ぎましたので,ここでは,巻頭言という場をお借りして,「総説」のJ-STAGE アクセス履歴を解析してみようと思います(解析にあたり,オレオサイエンス編集事務局の協力を頂きました)。
年間のアクセス履歴の集計結果の推移を見ると, 2014年の「総説」のPDF ダウンロード総数は66751 となりました。2015 年のダウンロード総数は82219,2016 年は107195 と増加し,その後2017 年は240978,2018 年は246728 と一定の落ち着いた値となっています。油化学会の会員数が約1000 人ですので,もし仮に会員のみがダウンロードしていたとすれば,最近の年間の一人の「総説」のダウンロード数は約240 論文と計算されます。この数は,オレオサイエンス誌の各巻に掲載される「総説」が3~5 論文ですので,約60 巻分もの数に相当します。このことから,やはりオンライン化のインパクトは非常に大きいと言えると思います。もちろん実際には,会員外の一般の方も数多くアクセスされると思いますので,その数が気になるところですが,こうした情報は得ることができず,この点が今後の課題と感じました。他方,国別のアクセス割合を見てみると,例えば2018 年12 月の「総説」のPDF ダウンロード総数は,日本21279,アメリカ4287,中国85 となり,アメリカからのアクセス数が(案外?)多いのがおわかり頂けると思います。実は,これまでの各年の国別のアクセス割合には大きな変動は見られず,一貫して,日本の次は,アメリカ,次いで中国となっています。このことに関して,海外では“Google 翻訳で全文翻訳して情報を得ている” との噂も耳にします。いずれにしても,オンライン化は和文誌であるオレオサイエンス誌の「総説」のグローバル化に貢献していると考えられます。
さて,ここで大切な連絡がございます。これまでは,冊子体のオレオサイエンス誌に「総説」が掲載されると,その約2 年後にJ-STAGE へ収載されることとしてきました。したがって,タイムラグがあり,本日(2019 年6月7 日)の時点で,J-STAGE に収載されている新しい「総説」は上述のように2016 年16 巻のものになります。今年からは新たに,冊子体のオレオサイエンス誌に「総説」が掲載されると,直ちにJ-STAGE へその「総説」が収載される方式へと変わります。このことが,本誌のインパクトやグローバル化を一層加速することを願ってやみません(図中の月間アクセス数ランキングの上位は,実は「総説」ではなく「入門講座」が占めておりますが,今年からの新方式によりランキング上位に「総説」が食い込んでくるのでは?,と予想しております)。もちろん,特集以外の企画(「研究室紹介」や「学会参加記」,「油脂関連情報」,「会員のひろば」,「会告記事」,「若手研究者紹介」,「Topics in Oleo Science」,等々)は今後も冊子体のみでしか見られませんので,引き続き冊子体もご愛読頂きたく思います。
編集委員の皆様とともに,魅力あるオレオサイエンス誌づくりに全力で取り組んで行く所存です。皆様のご協力,ご支援,ご声援を宜しくお願いいたします。