平成23年度物理化学インターカレッジセミナー 兼 日本油化学会界面科学部会九州地区講演会報告

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去る平成23 年11 月19、20 日の両日、油化学会界面科学部会の九州地区講演会を兼ねる物理化学インターカレッジセミナーが福岡大学セミナーハウスで52 名[講師3 名; 一般(教員を含む)15 名; 学生34 名]の参加により開催されました。福岡大学、佐賀大学、福岡工業大学、長崎国際大学など九州各地からの参加がありました。発表は、特別講演3 件、大学院生および学部生による口頭発表6 件とポスター発表14 件が行われました。

特別講演~前田 悠先生~

1日目は九州大学名誉教授の前田 悠先生と(独)産業技術総合研究所 環境化学技術研究部門 副部門長の北本 大先生に特別講演を拝聴いたしました。前田先生は、「泡とイオン」という題目で、気泡の安定性に及ぼすイオンの効果を、物理化学的観点から数式を織り交ぜ、学生にも分かりやすく講義して頂きました。特にスキューバダイビングの際に問題となる「潜水病」を界面科学の側面から説明され、泡の安定性が多方面で重要な課題であることを再認識いたしました。

特別講演~北本 大先生~

北本先生は、「微生物が作り出す界面活性剤(バイオサーファクタント): 構造・機能解析から用途開拓まで」と題してご講演をして頂きました。微生物によって生産される界面活性剤(バイオサーファクタント)の物理化学的現象から皮膚モデルを用いた応用・実用研究に至るまで、研究進歩の経過状況を織り交ぜながら講演して頂きました。また化粧品への商品化についても触れられ、産学官での共同研究の必要性及びその重要性について強く提言されました。

特別講演~秋貞英雄先生~

2 日目特別講演は、元九州共立大学教授の秋貞 英雄先生による「界面活性剤2 成分混合系のCMCの鎖長差効果とその解析の熱力学式」という題目でして頂きました。鎖長差の大きな界面活性剤混合物のCMC 挙動はユニークであり、全ミセル濃度に対する各ミセルの濃度割合のCMC 依存性が重要性であることを講義形式の講演で、また当日別途資料を配布し、各々の熱力学式の誘導を丁寧に御教授して頂きました。更に、学生および大学院生による口頭・ポスター発表では、界面科学を基盤とした多種多様な分野で研究を行う学生らが互いに議論を交わし、有意義な時間を過ごすことができたと思います。
今後も、界面科学部会九州地区を更なる活性化をさせるため、研究者間交流や研究成果の発表の場として大いに本セミナーを活用していきたいと思っております。

ポスター発表模様
ポスター発表模様
平成23 年度 集 合 写 真

なお、今年度のセミナーは長崎国際大学薬学部(柴田 攻教授)の担当で開催致しました。平成24 度は佐賀大学大学院教授の中島 謙一先生のお世話で開催される予定になっております。
(報告:長崎国際大学 薬 中原 広道)