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- 日本油化学会界面科学部会 東海地区行事
平成28年度 界面科学実践講座2016報告
界面科学実践講座2016 -基礎と応用-(東海)
例年通り、12月の第一金曜日(2日)に東海地区の界面科学実践講座を開催しました。この講座は、先輩諸先生方の努力により界面科学に関する講座として東海地区で歴史のあるもので、本年度も総勢69名(幹事等を含む)の方々に参加いただきました。
本年度は、まず界面科学部会(東海)副部会長の松崎(東亞合成)より、「主に新人の方々を対象に、わかりやすいをモットーとし」、「5名の講師により基礎から応用までを網羅した」講座であることをご案内。さらに日本油化学会東海支部、及び界面科学部会での活動や行事予定を紹介しました。その後、下記5名の講師による、いずれもたいへん興味深く充実した内容の講義が行われました。また、講義後の懇談会には約35名が参加され、分野や会社などの垣根を越えて活発な意見交換がなされました。このように、本年も多数の参加者のもとで有意義な実践講座となり、このような講座が広く必要とされていると実感しました。今後も「わかりやすく」と「交流できる場」を主眼に置いて継続していきたいと考えております。
1.「界面活性剤概論 ~両親媒性分子の構造・物性・機能~」
名古屋工業大学 生命・物質工学科 山本 靖 氏
たくさんの演示実験を交えて、界面活性剤の基礎をたいへんわかりやすく講義していただきました。若手研究者や学生さんには、頭の中にある断片的な知識をつなぎ合わせ、界面活性剤の構造と機能を整理する良いきっかけになったと思います。また、抵抗低減剤に関するトピックスでは、界面活性剤の応用分野の広さを実感できました。
2.「乳化の基礎 ~調製法と評価法~」
日本メナード化粧品株式会社 開発研究部 基礎化粧品第三研究G 山口 剛 氏
乳化に関する基礎的な講義を、ていねいに説明いただきました。乳化剤の特性と乳化プロセスの掛け算で生成エマルションの特性が決定されることがよく理解できました。エマルションの安定性についても、破壊機構と評価方法を詳しく説明いただき、その重要性を改めて認識することができました。
3.「界面活性剤の合成樹脂分野への応用」
竹本油脂株式会社 第五事業部 研究開発部 山田 享弘 氏
界面活性剤が合成樹脂分野でも極めて重要な役割をはたしていることを、多くの具体例を元にご説明いただきました。各種フィルムやシートとして合成樹脂が使用される際、帯電防止や防曇といった必須機能が界面活性剤により実現されていることを学びました。
4.「実用的な粒子分散系における配合設計の基本的な考え方」
小林分散技研 小林 敏勝 氏
小林先生には、本講座に度々ご登壇頂いておりますが、今回も粒子分散の基礎をたいへんわかりやすく、かつ実用的な内容でご講義いただきました。界面科学的視点から、粒子と分散媒の組合せに応じた配合設計を行うために必要な基礎事項をしっかりと学ぶことができました。
5.「ナノ中空粒子の不思議な性質とその応用」
名古屋工業大学 先進セラミックス研究センター 藤 正督 氏
ナノサイズの中空粒子がもたらす卓越した機能をふんだんにご披露いただきました。透明性と断熱性の両立、低誘電率膜、防食コーティング、さらにバレーボールの滑り止めコーティング等、ナノ中空粒子の魅力に引きこまれるご講演でした。大学での基礎研究が産業分野で応用される事例としても大変興味深いご講演でした。
講座の様子
演示実験の様子