関東支部所属で年会にエントリーした40歳未満の若手研究者による研究を対象として、“多くの人に聞いていただきたい”研究成果や取り組みを、関東支部幹事による投票により選出しています。受賞者には油化学セミナーで講演いただきます。
このたび、第12回若手研究者奨励賞を受賞された皆様に対し、関東支部を代表して心よりお祝い申し上げます。その卓越した研究成果と油化学分野への多大な貢献に、深く敬意を表します。
若手研究者奨励賞は、日本油化学会の未来を担う若手研究者の育成とその功績を称えるために関東支部独自に設立されたものであり、皆様の努力と情熱によって支えられています。受賞者の皆様の研究は、常に新しい知見を提示し、産業界や社会に多くの貢献をもたらしてまいりました。その多岐にわたる研究テーマは、油化学の幅広い可能性を示し、次世代の研究者にとって大きな希望となっています。
皆様がこれまでに培ってこられた知識と経験、そして情熱により、今後も油化学分野の発展に寄与されることを期待しております。また、皆様の業績が次世代の研究者にとって大いなる励みと指針となるよう、心から願っております。
改めて、今回の栄誉ある受賞に対し、心よりお祝い申し上げますとともに、さらに輝かしい未来を切り開かれることをお祈り申し上げます。
誠におめでとうございます。
令和6年10月 日本油化学会関東支部 支部長 戸堀 悦雄
第12回(令和6年度)
井阪 大輔
日清オイリオグループ株式会社 技術本部 基礎研究所
「中性子小角散乱法を利用した油脂中の水分子の存在状態観察」
この度は、名誉ある若手研究者奨励賞を頂き大変光栄に存じます。ご指導いただいております広島大学の上野先生、小泉先生、総合科学研究機構の岩瀬先生、並びに共同研究者の皆様、関係者の皆様に心より御礼申し上げます。本研究は、油と水の根源的な関係を明らかにしようと挑戦したものであり、水分子が関わる油脂の化学反応機構や油脂含有食品のおいしさの解明につながると考えております。今後はさらに研究を深め、油化学や油脂産業の発展に貢献できるよう本受賞を励みに精進して参ります。
本間 太郎
帝京大学
「フェロトーシス誘導に着目した、α-エレオステアリン酸と抗がん剤の併用効果の検証」
この度は名誉ある賞を賜り、大変光栄に存じます。日頃よりご指導いただいております関係者の方々に深く感謝申し上げます。本研究は、抗がん剤の副作用に苦しむ患者さんのQOL改善を目指し、共役脂肪酸と抗がん剤の併用効果を検証したものです。過去の受賞者を拝見すると、まさに現在第一線でご活躍中の先生方ばかりであり、恐縮しております。私もこのような先生方に続くことができるよう、一層研究に精進して参ります。
桒原 宏樹
東京理科大学
「O/Wエマルション界面に吸着したラメラ相の構造解析:エマルションの分散安定性との相関」
この度は、名誉ある若手研究者奨励賞を賜り大変光栄に存じます。選出していただいた先生方に、心より御礼申し上げます。本研究は、日頃ご指導をいただいている東京理科大学の酒井秀樹教授をはじめ、大変多くの共同研究者の方々にご協力いただき進めてまいりました。今後はさらに研究を深め、エマルション油/水界面の構造物性解析から製剤の安定性予測に繋げることで、社会に貢献できるように邁進してまいります。
小尾 純志
株式会社ニッスイ
「調理工程におけるトランス脂肪酸増加に関する新知見~天然硫黄化合物による異性化の促進~」
この度は、栄誉ある若手研究者奨励賞をいただき大変光栄に存じます。名城大学の本田先生をはじめ、ご指導いただきました方々に心より感謝申し上げます。「調理工程でトランス脂肪酸は増えないか?」 というふとした疑問を突き詰めた結果、野菜に含まれる含硫化合物が不飽和脂肪酸のトランス化を促進するという、本受賞の発見に至りました。トランス脂肪酸のブームは少し前になりますが、その制御に関して少しでも皆様のご参考になれば幸いです。今後も油化学の諸現象に向き合い、願わくば、新しい話題を発信してまいります。