令和6年度物理化学インターカレッジセミナー兼日本油化学会界面科学部会九州地区講演会報告

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令和7年1月11日(土)、物理化学インターカレッジ主催、日本油化学会および佐賀大学理工学部の共催により、佐賀大学理工学部6号館(DC棟)2階多目的セミナー室において、令和6年度物理化学インターカレッジセミナー兼日本油化学会界面科学部会九州地区講演会が開催されました。本年度は佐賀大学、福岡大学、福岡工業大学をはじめ、九州各地の大学から教員・学生が40名参加し、幅広い分野から多様な研究成果が発表されました。

まず口頭発表では、佐賀大学、福岡大学、福岡工業大学の研究グループから8件の最新の研究成果が報告されました。

特別講演では、九州大学の槇靖幸先生が「砂糖入りゼリーの物理化学」というテーマで、ゼラチンゲルのゲル化温度や弾性率に及ぼす糖添加の影響を詳しく紹介しました。ゼラチンにスクロースを添加した場合のゲル化温度の上昇や弾性率の向上について具体的なデータが示され、糖分子がゲル形成のメカニズムに与える影響が明確に示されました。また、佐賀大学の大竹亜紗美先生は、「酸化グラフェンと機能性酸化グラフェンの定量的分散性測定装置の開発と改良」と題して、高輝度光源を用いた新規測定装置を紹介しました。従来の目視評価に依存していた分散性評価を客観的かつ正確に行える装置の有用性が示されました。

特別講演  槇靖幸先生  特別講演  大竹亜紗美先生

ポスターセッションでは、佐賀大学、福岡大学などから16件の発表があり、コラーゲンを用いた生体材料開発、炭素材料の電極応用、分子シミュレーションによる分子動態解析など、多彩なテーマで活発な質疑応答と交流が行われました。

優秀発表賞として、口頭発表部門では佐賀大学の神代健人さんが受賞しました。ポスター発表では福岡工業大学から水口勝誠さんと井出悠さん、佐賀大学から福元陽菜さん、齊藤昇瑚さんが選ばれました。受賞された皆さん、おめでとうございます。

表  令和6年度 学生表彰者一覧

優秀口頭発表賞 セルロース添加による天然黒鉛の水系溶媒への直接分散と電極材料応用 佐賀大院理工学 神代健人 M2
優秀ポスター賞 中空コラーゲンゲルの形態と機械的特性に対するプレゲル溶液へのUV処理の効果 佐賀大理工 福元陽菜 B4
ホスホン酸濃度が異なる新規液体の調製 佐賀大院先進健康 齊藤昇瑚 M1
ペプチド型界面活性剤逆ミセルの皮膚透過性に関する研究 福工大院工 水口勝誠 M1
単分散チタニアナノシートの薄膜化とファイバー化 福工大院工 井出悠 M1

受賞者:写真左から井手さん、水口さん、中原先生、斎藤さん、福元さん、神代さん

本 セミナーは界面科学分野の研究者・学生が交流し、研究成果の発表と議論を通じて相互の理解を深める貴重な機会となりました。研究者間の活発な意見交換が新たな共同研究や学際的研究テーマの創出にも繋がると期待されます。次年度以降も九州地区の界面科学分野の発展と研究者間の交流促進に大きく貢献していくことが期待されます。

令和6年度 集合写真

なお、本セミナーの開催運営は佐賀大学理工学部の成田貴行准教授および坂口幸一准教授が世話人として担当しました。

(報告:佐賀大学理工学部化学部門 成田貴行)