油化学会界面科学部会の九州地区講演会を兼ねた物理化学インターカレッジセミナーが平
成21年12月5、6日の両日福岡大学セミナーハウスで開催されました。今回は、48名[講師2名; 一般(教員を含む)17名; 学生29名]の参加、福岡大学、佐賀大学、長崎国際大学、九州産業大学、九州共立大学、福岡工業大学、熊本大学など九州各地からの参加がありました。特別講演2件、一般と大学院生による口頭発表5件とポスター発表16件が行われました。
このセミナーの主なねらいは、セミナーでの発表を通じて院生・学生に研究やプレゼンテー
ション能力を少しでも向上してもらうと共に、他大学との交流で広い視野を持ってもらうことにあります。
第1日目の特別講演は、岡山理科大学工学部教授の竹田邦雄先生より、「界面活性剤によるタンパク質の構造変化」と題して、タンパク質と界面活性剤との相互作用に関して、歴史的な背景に始まり、長年にわたるタンパク質の二次構造変化に関する速度論を含めたまとまった報告がありました。また、学生に向けて研究とはどのようなものか、どのように取り組むべきものなのか、について学生を鼓舞する多くの示唆をいただきました。第2日目の特別講演では、佐賀大学理工学部准教授の海野雅司 特別講演先生より「フラビンを発色団としてもつ光受容タンパク質の光反応機構の解明-ラマン分光法によるアプローチ」と題して、光受容タンパク質とはどのようなものか、ラマン分光法によりどのような研究が進められるかなど学生向けの基礎から最新の研究成果にわたる報告がありました。参加者にとっては、馴染みの薄い分野でのご講演でしたが、整然とした講演を通して研究の概要や意義を把握することができました。
特別講演
また、いずれのご講演においても、活発な質問と議論がありました。ただ学生・院生からの質問は少なかったようですが、ポスター発表では、右の写真に見られ ポスター発表るように、学生・院生同士の活発な議論がありました。
ポスター発表
一般・学生による口頭発表およびポスター発表の内容は、界面活性剤物性・応用、コロイド
化学、溶液化学、微生物化学、環境化学など多岐に渡っており、有意義な相互の分野の交流がなされました。なお、今回はポスター発表件数が例年に比べ多かったため、2部に分けて実施しました。今後も、本セミナーが幅広い研究交流の場となり、延いては界面科学部会九州地区の発展へと繋がることを期待します。
なお、今年度のセミナーは佐賀大学の滝澤が世話役となり研究室学生のみなさんの協力で開
催させて頂きました。来年度は福岡工業大学の桒原先生のお世話で開催される予定です。
(報告:佐賀大学、滝澤 登)