界面科学実践講座2015-基礎と応用-(東海)
東海地区では、界面科学実践講座を例年12月の第一金曜日に行っており、本年も12月4日(金)に開催しました。この講座は、先輩諸先生方の努力により界面科学に関する講座として東海地区で歴史のあるもので、本年度も総勢76名(幹事等を含む)の方々に参加いただきました。
本年度の界面科学実践講座では、まず界面科学部会(東海)副部会長の松崎(東亞合成)が、「本日も5名の講師をお迎えしてわかりやすく講義いただけること」と、「交流を広げる場として懇談会を用意していること」をご案内したのち、日本油化学会東海支部での活動や行事予定を紹介しました。その後、下記5名の講師による、いずれもたいへん興味深く充実した内容の講義が行われました。また、講義後の懇談会には約40名が参加され、分野や会社などの垣根を越えて活発な意見交換がなされました。
このように、本年度も多数の参加者のもとで有意義な実践講座となり、このような講座が広く必要とされていると実感しました。今後も「わかりやすく」と「交流できる場」を主眼に置いて継続していきたいと考えております。
1.界面活性剤概論?両親媒性分子の構造・物性・機能?
名古屋工業大学 生命・物質工学科 山本 靖 氏
たくさんの演示実験を交えて、界面活性剤の構造や性質についてたいへんわかりやすく講義していただきました。若手研究者や学生さんには、頭の中にある断片的な知識をまとめ不足している部分を補う良いきっかけになったと思います。また、抵抗低減剤に関するトピックスも興味深かったです。
2.乳化の基礎
日本メナード化粧品株式会社 開発研究部 坂 貞徳 氏
乳化に関する基礎的な講義を、ていねいに説明いただきました。坂先生には、これまで何度もご登壇いただいておりますが、本年も充実した内容でした。また、現場でのご自身の体験により常に基本を心に留めて考えていくという戒めは、今後の業務を進めて行く上でたいへん為になると感じました。
3.界面活性剤の不織布分野への応用
竹本油脂株式会社 研究開発部 森田 昌武 氏
不織布の分野での界面活性剤の活躍に驚きました。衛生製品や衣料などその市場が急速に伸びて広がっていることや、目的や要求の異なる性能を発揮するために様々な工夫がなされている様子を、動画などで明快に解説されました。また、仕上げ油剤の異なる合成繊維を実際に触り、指先で実感しました。
4.消泡剤の基礎とその応用
サンノプコ株式会社 研究部 島林 克臣 氏
消泡剤という、界面活性剤とは裏表の関係であるもののなかなかなじみ薄いものを、基礎から応用までわかりやすく説明していただきました。とくに、消泡剤が働くメカニズムを示した多くのアニメーションや高速度カメラの画像は、仕組みを理解する手助けのひとつとなりました。
5.微粒子安定化機能性気液分散系の化学
大阪工業大学 工学部応用化学科 藤井 秀司 氏
高分子粒子を応用した先端研究をご紹介していただきました。微粒子安定化泡が5年以上も安定に存在していることは、たいへんな驚きです。さらに、「リキッドマーブル」を利用した近赤外光などの刺激による「微粒子輸送」や「粉体状粘着剤」などの最新トピックスも、興味深く拝聴しました。
講座の様子
演示実験の様子