去る平成24年11 月24、25日の両日、油化学会界面科学部会の九州地区講演会を兼ねる物理化学インターカレッジセミナーが福岡大学セミナーハウスで57 名[講師3 名; 一般(教員を含む)22 名; 学生32 名]の参加により開催されました。福岡大学、福岡工業大学、長崎国際大学、佐賀大学など九州各地からの参加がありました。発表は、特別講演3 件、一般参加者による口頭発表2件、大学院生および学部生による口頭発表4件、ポスター発表12 件が行われました。
第1日目は九州産業大学の境正志先生と(独)物質・材料研究機構の山内悠輔先生の特別講演がありました。境先生には「ミクロに魅せられて」という題目で、微小気泡表面の分極水分子とイオンの構造、気泡表面のイオンの吸着構造、気液界面のイオン分布、泡の表面荷電量とイオン吸着構などについて分かりやすく講義していただきました。
山内先生には「機能性無機材料としてのナノ多孔体」というタイトルで講演して頂きました。孔径が2 nmから50 nmのメソ多孔体について、分子集合体を鋳型とする合成法及びその応用例について紹介していただきました。特に、セラミックス材料、金属材料、プルシアンブルーなどのメソ多孔体について、ご自分の研究室で開発された合成法・応用例とその特徴
を詳しく講演してくださいました。
2日目の特別講演は佐賀大学の大石祐司先生に「二成分系単分子膜における分子凝集構造の制御」というタイトルの講演をしていただきました。鎖長の異なる2種類の脂肪酸を用いた分子間凝集エネルギー差に基づく分子凝集状態、2種類の脂質分子を用いた分子凝集状態に及ぼす圧縮エネルギーの依存性について紹介していただき、さらに、さまざまな機構による分子凝集状態の制御及び分子配列制御について詳しく解説していただきました。
なお、今年度のセミナーは佐賀大学大学院工学系研究科教授・中島謙一の担当で開催致しました。平成25年度は福岡大学理学部教授・祢宜田啓史先生のお世話で開催される予定になっております。
(報告:佐賀大学大学院工学系研究科 中島謙一)