平成23年度 界面科学実践講座2011報告

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界面科学実践講座2011-基礎と応用-(東海)

今年も界面科学部会(東海)と東海支部との共催で、「界面科学実践講座2011-基礎と応用-(東海)」が平成23年12月2日(金)に約70名の参加者を集めて開催されました。この会は、毎年12 月の第1週の金曜日に開催される、東海地区定番の界面科学の基礎講座です。この講座の特徴は、わかりやすいをモットーに、各講師の先生方の演示実験やパワーポイント中の動画などが多いことです。また、学生さんの参加費は500円のワンコインで多くの参加を呼びかけています。

【プログラム】

下記のような内容でセミナーが行われました。

1.「界面活性剤概論 ?両親媒性分子の水溶液の性質?」

岐阜大学 工学部 生命工学科 亀山 啓一 氏

界面活性剤は、界面に吸着して、その界面の性質を変化させる物質群として定義される。そのような物質を構成する分子は、界面を形成する物質のそれぞれに部分的に親和性のある部分を一つの分子内にもつ、いわゆる両親媒性分子である。この講演では、特に水系媒質を対象とする場合を中心にした両親媒性分子の溶液の一般的な性質について述べられた。

2.「乳化の実際」

中京油脂株式会社 開発センター 営業開発グループ 有賀 英也 氏

乳化技術は被乳化材料のハンドリング性や機能・効果の向上目的に、また、エマルション自体が高機能材料として有用であり、広く産業分野で利用されている。乳化技術は、乳化剤選定・乳化(工程)・安定化技術から成る。本講演では化学工業分野で利用されている乳化の実際について、調製方法・乳化装置(選定)を中心に実演を交えて述べられた。

3.「界面活性剤系の相挙動とその応用」

クラシエホームプロダクツ株式会社 ビューティケア研究所 岩永 哲朗 氏

界面活性剤は溶媒中にて様々な自己組織体を形成するため、界面活性剤溶液や乳化系の基礎・応用研究のために相平衡図の作成は極めて重要と考えられる。そこで、本講演では界面活性剤の油/水系の乳化、可溶化への応用を想定した相平衡図の作成、解釈の方法について述べ、次に、相平衡図を用いた可溶化系への利用方法として、多量の被可溶化物を可溶化することを目的としたメイク落し製剤について紹介された。

4.「洗浄の基礎と応用 ?界面活性剤の上手な使い方-」

ライオン株式会社 機能素材研究所 竹内 祥訓 氏

洗浄は、最も身近な界面活性剤の活用分野である。本講演では、色々な洗浄分野において界面活性剤をつかいこなすために、乳化・分散・可溶化・浸透・再汚染防止といった洗浄の基本機能について説明しながら、最新の知見も交えて洗浄における界面活性剤の役割について解説して頂いた。特に、演示実験ではカメラで手元を写しながら講義され、会場の聴講者の皆さんに分かりやすい講演であった。

5.「ヘアカラーの歴史」

ホーユー株式会社 総合研究所 丹羽 正直 氏

日本におけるパラフェニレンジアミンを用いたヘアカラー(酸化染毛剤)は、明治時代後半に発売され現在に至るまで、さまざまな使用形態の商品が発売されてきた。本講演ではヘアカラー全般の種類とその特徴の概説、中でも市場で最も使用されている酸化染毛剤、染毛理論および商品形態の時代変遷について説明された。

講演2における乳化の実演