平成22年度 界面科学実践講座2010報告

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界面科学実践講座2010-基礎と応用-(東海)

今年も界面科学部会(東海)と東海支部との共催で、「界面科学実践講座2010-基礎と応用-(東海)」が平成22年12月3日(金)に約60名の参加者を集めて開催されました。この会は、毎年12月の第1週の金曜日に開催される、東海地区定番の界面科学の基礎講座です。この講座の特徴は、講師の先生方が、これはというポイントで演示実験をして下さることが多いことや、最近ではパワーポイント中に動画を盛り込まれて、わかりやすく説明して下さる点です。また、新入社員の研修の一つとして組み込んで協力して下さる企業の方も多く、会として非常に感謝しております。今後とも皆さんのご参加をお待ちしております。

【プログラム】

1.「界面活性剤概論-構造・物性・機能を中心に」

愛知工業大学工学部 応用化学科 村田 護 氏

界面活性剤は構造的には分子内に親水部と疎水部をあわせもつ化合物の総称であり、両親媒性物質とも呼ばれる。その基本的な機能は界面への「吸着」と溶液内部での「分子集合体形成」(ミセル化、自己組織化)である。その結果として乳化、分散、起泡、可溶化、浸透、潤滑、帯電防止などの様々な機能を発現する。洗剤が最も身近な応用ではあるが、さまざまな分野での利用がなされている。界面活性剤の構造と水溶液の物性、機能を中心に解説する。→界面とは何か、界面活性とは何かから始め、界面活性剤の化学構造的分類、水溶液を中心とした基本的な溶液物性、主な機能と用途など界面活性剤の入門の入門を丁寧に講義頂きました。

2.「乳化の基礎」

日本メナード化粧品株式会社 研究技術部門 第三部 坂貞徳 氏

乳化は互いに混じり合わない水と油を混ぜ合わせることにより高機能材料として用いる技術であり、医薬品、食品、化粧品など広範囲の産業分野に汎用されている。ここでは乳化の利用・理解について基礎となる乳化の種類及び調製法、乳化剤の選択、乳化の安定性などについて触れ、乳化と異なり熱力学的に安定な系である可溶化との比較についても解説する。→坂先生には、ほぼ隔年ごとに、いつも演示実験や聴講者参加のデモンストレーションなど交えたユニークな講義を頂いています。

3.「ポリグリセリン脂肪酸エステルの特性と用途」

太陽化学株式会社 インターフェイスソリューション事業部 研究開発グループ 高橋 広輝 氏

ポリグリセリン脂肪酸エステルは、親水基にポリグリセリン、疎水基に脂肪酸を有する非イオン界面活性剤である。食品添加物にも適合する安全性の高い界面活性剤であり、構成成分がグリセリンと脂肪酸であることから、近年はグリーンケミストリー素材としても注目されている。本講では、ポリグリセリン脂肪酸エステルの特性や機能、および食品分野をはじめとして、化粧品やトイレタリー、工業分野での応用事例について紹介する。→ポリグリセリン脂肪酸エステルの利用について、新入社員の皆さんが、直ぐに実践でき役に立つ内容に絞られて講義をして下さいました。

 

4.「消泡剤の基礎とその応用」

サンノプコ株式会社 機能ケミカルス研究部 機能活性剤グループ 村上 悟 氏

消泡は、さまざまな産業分野において重要な役割を担う現象であり、消泡をコントロールする消泡剤は、少量でありながら対象とする工程の生産性や品質を大きく左右する大変重要なケミカルである。本講演では、消泡剤の基礎からその評価方法、実際工程での応用例など広く解説する。→これまではの講座では起泡や安定性などを中心とした泡のテーマでしたが、今年は製造のプロセスなどで問題となりがちな泡を消すテーマへ変えて好評でした。

5.「光硬化型樹脂の密着性~似たもの同士がよく密着するのか?~」

東亞合成株式会社 高分子材料研究所 稲田 和正 氏

光硬化型樹脂とは、液体に光を照射すると瞬時に硬化する樹脂のことであり、高生産性、低VOC、微細形状付与等のメリットがあるが、基材との密着性がしばしば問題となる。本講演では、光硬化型樹脂の密着性について、化学構造の似たもの同士が本当によく密着するのかという観点から演者らが調べた結果を紹介するとともに、Fowkes式による界面での最適接着条件に対する検証結果についても紹介する。

              講演の様子

演示実験の様子